CRA(臨床開発モニター)とCRC(治験コーディネーター)の違い

CRAとCRCの違い

CRA(臨床開発モニター)と似ている職種にCRC(治験コーディネーター)があります。CRA(臨床開発モニター)とCRC(治験コーディネーター)は混同されやすい職種ですが、仕事内容や労働条件に違いがあります。CRA(臨床開発モニター)へ転職する前に、CRC(治験コーディネーター)との違いをしっかり理解しておくことが大切です。

この記事では、CRA(臨床開発モニター)とCRC(治験コーディネーター)の違いについて詳しく解説します。CRA(臨床開発モニター)とCRC(治験コーディネーター)のそれぞれの特徴やメリット・デメリットを比較し、どちらの職種が自分に合っているか判断するための参考にしてください。

クエスチョンマークCRAとCRCの違い

ややこしいですね。
末尾がAだとCRAですね。

CRA(臨床開発モニター)は製薬会社で、CRC(治験コーディネーター)は病院で働く。

CRAとCRCの違い

CRA(臨床開発モニター)とCRC(治験コーディネーター)は新薬の開発の最終工程である治験や臨床試験に関わり、一緒に仕事をすることも多いですが、仕事内容や労働環境などに違いがあります。自分がどちらに適しているかを考えたうえで、応募先を選ぶことが大切です。

【仕事内容】CRAは製薬会社の立場に立てる人が向いている

キャリアアップできるのはCRAかしら? CRAは製薬会社の立場に立てる人が向いている

CRA(臨床開発モニター)の仕事内容は、別名「モニター」と言われることからも分かるように「治験のモニタリング」、すなわち病院内で治験がきちんと行われるようにチェック・指導をする業務です。別の仕事では、コンビニエンスストアのスーパーバイザーや家電量販店を巡回するメーカーの営業担当者などが、チェック・指導を業務とする仕事として知られています。

それに対して、CRC(治験コーディネーター)の仕事内容は、職種名からも分かるように「コーディネーション」、つまり調整業務です。病院内で治験担当医、被験者、製薬会社の3者の間に立ち、治験がスムーズに進むように働きかけます。調整業務という面では、病院のソーシャルワーカーや行政の保健師の業務に似ていると言えます。

CRA(臨床開発モニター)は、治験担当医師やCRC(治験コーディネーター)から治験について何を聞かれても的確に答えられる必要があります。そのため、治験薬や治験の実施方法についての十分な知識に加えて、理解力や記憶力も求められます。

また、治験薬の作用機序や薬物動態の理解はもちろんのこと、海外の文献や最新の研究動向を把握し、最新の情報を正しく理解して適切に活用できる能力も必要です。さらに、治験の専門家である治験担当医師やCRC(治験コーディネーター)と良好な関係を築くためのビジネスマナーや、複雑な内容をわかりやすく説明できるプレゼンテーション能力も必要です。

仕事内容の違い

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【給与】CRAの年収はCRCより高い

CRAは年収が高い

CRA(臨床開発モニター)の平均年収は約615万円で、CRC(治験コーディネーター)の平均年収(約480万円)と比べると約135万円ほど高いです。

CRA(臨床開発モニター)が所属する製薬業界は年収が高いことで知られており、外資系企業も多く存在します。そのため、CRA(臨床開発モニター)の給与はCRC(治験コーディネーター)に比べて高くなります。

年収の比較

※CRAは423名、CRCは292名のCRAばんく・CRCばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2024年12月、有効回答数:N=715)。

【残業】CRAは残業が多い

忙しいけど給与が高いのがCRAなんですね。 CRAは残業が多い

CRA(臨床開発モニター)の残業時間は平均して月に10~30時間程度で、CRC(治験コーディネーター)よりも多いです。また、CRA(臨床開発モニター)は宿泊を伴う出張があり、休日に自宅で仕事をすることも珍しくありません。

これらの拘束時間やサービス残業を含めると、CRC(治験コーディネーター)との差はさらに広がると考えられます。

CRA(臨床開発モニター)が担当するエリアは日本全国であることが多いです。そのため、例えば、月曜日の午前中に遠方の医師と面会する必要がある場合、CRA(臨床開発モニター)は日曜日の夜に出発して前泊して準備をするか、もしくは始発の交通機関を利用する必要があります。そのため、CRA(臨床開発モニター)の拘束時間はCRC(治験コーディネーター)よりも長くなりやすいです。

また、CRA(臨床開発モニター)は、報告書の作成やデータの確認などを自宅で労働時間外に行うことも多いです。

ただし、近年では在宅勤務の利用により通勤時間が短縮され、リモートモニタリングの普及によりCRA(臨床開発モニター)の出張は減少傾向にあります。また、フレックスタイム制の導入により労働時間を柔軟に調整できたり、CTA(アシスタント)を増員してCRA(臨床開発モニター)の繁忙期の残業を減らす取り組みも行われています。その結果、CRA(臨床開発モニター)の残業時間は以前よりも減少しています。

残業時間の比較

※200名のCRA・CRCばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2024年12月、有効回答数:N=200)。

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【勤務地】CRAは地方で働くことが難しい場合が多い

CRAのままUターン転職をすることは難しそうかしら。 CRAは地方で働けない

CRA(臨床開発モニター)の勤務地は、東京や大阪などの大都市に集中しています。

これは、CRC(治験コーディネーター)は治験を実施する病院があればどこでも仕事ができるのに対して、CRA(臨床開発モニター)が勤務する製薬企業などの開発部門やCROのオフィスの多くが都市部にあるからです。

フルリモートワークが可能であっても、2~3年以上の長期にわたって仕事を続けることは難しい場合も多く、地方に開発拠点がある製薬会社は限られています。そのため、大都市圏以外に住んでいる場合、CRA(臨床開発モニター)として長く働くことは難しい場合が多いです。

配偶者の転勤や介護のために引っ越す必要がある場合、仕事を続けることが難しくなる可能性があります。

働ける都道府県

※47都道府県中

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【学歴】CRAになるには大卒以上の学歴が必要な場合が多い

製薬会社に新卒で採用されるCRAは、ほぼ全員が院卒です。 CRAは高い学歴が求められている

CRA(臨床開発モニター)になるためには、大卒以上の学歴が必要な場合が多いです。

実際に、CRA(臨床開発モニター)の約95%の学歴は大卒以上です。そのうち約2割は6年制の大学を卒業した薬剤師ですので、CRA(臨床開発モニター)の半数以上は大学院または6年制の大学を卒業していることになります。

専門・短大卒の方がCRA(臨床開発モニター)になるためには、高い英語力があったり、専門・短大卒でも応募可能な求人を見つけて応募する必要があると言えます。

学歴の比較

※CRAは180名、CRCは120名のクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2024年12月、有効回答数:N=300)。

【資格】CRAは医療資格を持たない人が多い

医療資格を持っていてもメリットは何もないようでです。 CRAは医療資格の必要性が低い

CRA(臨床開発モニター)の半数以上は、薬剤師や看護師などの医療資格を持っていません。

一方で、CRC(治験コーディネーター)の約7割は医療資格を持っており、医療資格を持たない人は少ないです。このことから、CRA(臨床開発モニター)はCRC(治験コーディネーター)よりも医療資格の必要性が低い仕事だと言えます。

ただし、CRA(臨床開発モニター)に中途採用で転職するためには、薬剤師やMRなどの医療資格が求められることがほとんどです。医療資格を持たないCRA(臨床開発モニター)の多くは新卒採用された方で、中途採用された方ではありませんので誤解しないようにしましょう。

CRAの資格の種類

※200名のCRAばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2024年12月、有効回答数:N=200)。(新卒入社を含む)

CRCの資格の種類

日本SMO協会データ2021JCOG CRC実態調査2018より出典
※SMOのCRC2574人と院内CRC398人の資格の調査データを合算

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【英語】CRAは英語を使う機会が多い

TOEICが800点以上の人はCRAへの転職がおすすめです。 CRAは英語の使用頻度が高い

CRA(臨床開発モニター)の半数以上は外資系企業で勤務しています。その理由は、CRA(臨床開発モニター)が所属する製薬業界の競争は世界規模で行われているからです。実際に製薬会社の売上ランキングの上位は外資系企業が占めており、日本の企業はほとんど見かけません。

一方で、CRC(治験コーディネーター)のほぼ全員が内資(日系)企業で勤務しています。その理由は、CRC(治験コーディネーター)が所属する病院業界は外資系の参入を制限しているからです。外資系によって運営される病院やSMOはほとんど見当たりません。

このような背景から、CRA(臨床開発モニター)はCRC(治験コーディネーター)に比べて英語を使う機会が多くなっています。また、英語力が高い人はCRA(臨床開発モニター)になりやすく、年収アップや昇進のチャンスが増えることになります。

資本の比較

※日本国内における製薬会社CRO・病院・主要SMOの売上・病床数の上位10位までを比較して作成。

【年齢】30歳を超えるとCRAへの転職は難しくなる

CRAは応募のチャンスが少ないようです。 CRAは応募のチャンスが少ない

未経験からCRA(臨床開発モニター)に転職する場合、30歳を超えると応募可能な求人が減少します。そのため、出産や育児が一段落した方が、CRA(臨床開発モニター)に転職できる機会は多くありません。

一方で、CRC(治験コーディネーター)への転職は、CRA(臨床開発モニター)に比べて年齢制限が緩く、35歳前後でも応募可能な求人が多くあります。そのため、出産や育児が一段落した方でも、CRC(治験コーディネーター)に転職できることが多いです。

CRA・CRCになった年齢の比較

※CRAは423名、CRCは292名のクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2024年12月、有効回答数:N=715)。(ただし、新卒は除く)

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【面接回数】複数回の面接を実施する企業が約半数

CRAの転職活動は長期戦を覚悟です。嬉しくないですね。 面接を行っている

CRA(臨床開発モニター)とCRC(治験コーディネーター)の両方において、複数回の面接を実施する企業が約半数を占めています。

CRA(臨床開発モニター)の面接回数は外資系企業の比率が高まるにつれて減少傾向にありますが、CRC(治験コーディネーター)の面接回数は業界の再編に伴い増加傾向にあります。

面接の回数

※主要CROSMO10社の選考方法をもとに作成。

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【適性検査】応募先の約8割が適性検査を実施

試験を行っている

CRA(臨床開発モニター)の選考では、多くの適性検査が実施されています。種類としては、性格・能力検査、小論文・作文、PCスキルチェック、英語試験、GCP理解度テストなどがあります。適性検査が苦手な方は、事前に準備をしておくことをおすすめします。

適性検査の有無

※主要CROSMO10社の選考方法をもとに作成。

【合格率】CRAはCRCよりも未経験者の合格率が低い

特に看護師、検査技師からCRAになるのは難しいです。 CRAの合格率は低い

CRA(臨床開発モニター)未経験者の合格率は、CRC(治験コーディネーター)の約半分で、おおよそ10%です。一方、経験者の合格率は、35~40歳までの年代ではCRC(治験コーディネーター)の方が高いですが、それ以降はCRA(臨床開発モニター)の方が高くなります。

このことから、CRA(臨床開発モニター)は未経験から転職できるチャンスが小さいと言えるでしょう。

合格率の比較

※200名のCRCばんく・CRAばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2024年12月、有効回答数:N=200)。

転職活動の比較(平均値)

※CRAは180名、CRCは120名のクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2024年12月、有効回答数:N=300)。

表CRAとCRCの比較一覧表

CRAもCRCもどちらの仕事も面白そうで、迷っちゃうわ。
C R A C R C
臨床開発モニター(または治験モニター)、Clinical Research Associateの略 何の略? 治験コーディネーター(または臨床研究コーディネーター)、Clinical Research Coordinatorの略
製薬会社、もしくはCRO 所属する組織 病院、もしくはSMO
新薬の臨床試験がきちんと行われているかをチェックする。試験を正確に実施する責任がある。 仕事内容 治験がスムーズに行われるように患者と病院、製薬会社の3者間に立ちコーディネーションをする。被験者とのやりとりが多く発生する。
年収は400~1200万円
平均年収はおよそ600万円前後
給与 年収は300~800万円
平均年収はおよそ500万円前後
月に10~30時間前後(出張の移動時間、自宅でのサービス残業を合わせるとプラス20時間) 残業時間 月に5~20時間
  • 土日祝日、ゴールデンウィーク、夏休み、年末年始など
  • 年間休日は115~125日
  • 平均すると月に0~1回の休日出勤がある
休日
  • 土日祝日、ゴールデンウィーク、夏休み、年末年始など
  • 年間休日は120~130日
  • 平均すると月に1回ほど休日出勤がある
取得しやすい 有給 取得しやすい
多い(全国) 出張 ほとんどない(隣県まで)
利用しやすい 在宅勤務 利用しにくい
なし 転勤 一部のSMOのみあり
グローバルプロジェクトを担当したり、外資系に勤めると英語の使用頻度は高くなる。管理職レベルになると英語が話せて当然と言った雰囲気。 英語の使用頻度 高くはないが、英語力があると好ましい。英語を話せる人は少ないので重宝がられる。
可能。子供が小さいうちはCRAではなく、QCやCRAサポート職などの事務系職種に異動して仕事を続けることが多い。 家庭との両立 容易。時短勤務制度などを利用して働けることも多い。
東京と大阪に集中している 勤務地 全国
理系院卒、理系大卒の順で多い。大卒の約3分の1は6年制。 学歴 大卒、専門(短大)卒の順で多い。近年は大卒の比率が大きく上昇。
資格なしが最も多い。次いで薬剤師、MRの順。 資格 看護師と臨床検査技師が最も多く、次いで薬剤師、管理栄養士の順。
28歳前後(CRA経験者の場合は50歳前後) 応募時の年齢制限 35歳前後(CRC経験者の場合は45歳前後)
男女比は半々 男女比 女性が8割
仕事中の服装の基本はスーツ、もしくはビジネスカジュアル 服装 仕事中の服装の基本は白衣。時々スーツを着る
なし 患者様と接する場面 多い
1~2ヶ月が多い 座学の導入研修期間 1~3週間が多い
1回と複数回が半々 面接回数 1回と複数回が半々
多くは有り 適性検査の有無 多くは有り
未経験者は5~15%で推移、経験者は40~90%で推移。 合格率 未経験者は10~35%で推移、経験者は30~80%で推移。
  • 5~10前後の病院を受け持つ
  • 事務作業が多い
その他の特徴
  • 5~20人前後の患者様を受け持つ
  • 事務作業が多い
忙しい、締切が近い 口癖 遠方の病院の担当になりたくない

マルCRAを選んだ理由

CRAのほうが人気がある職種かもしれませんね。

CRAを選んだ理由ベスト3

1位
高度な専門知識英語力が求められるため、キャリアアップが期待できると感じた
2位
将来的に高い給与が得られる可能性があると考えた
3位
製薬業界の一員として、新薬の開発に貢献できると思った
CRAを選んだ理由

CRA(臨床開発モニター)を選んだ理由の1位は「キャリアアップが期待できる」です。

CRA(臨床開発モニター)の仕事内容は高度な専門知識が必要とされ、英語の使用頻度が高く、全国への出張もあるなど、キャリアアップが期待できる仕事と感じたことが、CRA(臨床開発モニター)を選んだ最も多い理由となっています。

2位には「高い給与」という声が挙がりました。CRC(治験コーディネーター)よりも年収が約100万円程度高いことが魅力的に映るようです。

CRA(臨床開発モニター)を選ぶ主な理由は、「高度な専門知識が求められる仕事内容」と「高い年収」の2つだと言えるでしょう。

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CRA評判・口コミ

声CRAを選んだ人の声

製薬会社の立場から治験に携わることができる
CRCだと病院で行われる治験にしか携われないのに対して、CRAであれば病院だけでなく製薬会社で行われる治験にも関わることができます。CRCと異なり、製薬会社の立場から治験に携わることができる点に魅力を感じたのでCRAになろうと思いました。(元病院の薬剤師)
キャリアップできる
CRAはCRCよりも高い専門知識が求められると聞きました。また、全国への出張があり、仕事で英語を頻繁に使用するとのことです。他にもスーツを着て仕事をすることや、高学歴の人が多いことなどから、CRCよりもCRAの方がビジネスパーソンとしてキャリアアップできると考えてCRAに決めました。(元病院の保健師)
CRCの応募条件を満たさない
私はMRです。CRCの仕事にも興味があり少し調べてみましたが、MRの経験をCRCとして評価してくれる企業は少なく、CRCへ転職することは難しいと感じたのでCRAを選びました。(元企業のMR)
年収が高い
私の年齢は20代後半で、結婚し子供もいます。現在の病院でこのまま働き続けても、管理職にならない限り給与アップは期待できません。

CRAの平均年収を調べてみたところ臨床検査技師よりも高く、管理職になれば年収が1000万円近くになることもあるとのことでした。仕事もやりがいがあり面白そうだと感じ、家族と自分の将来のことを考えてCRAへと転職しました。(元病院の臨床検査技師)
CRAへの応募は今しかできない
未経験者の場合、「CRAへの転職は30代になると難しくなる」と聞きました。CRCへの転職は30代でも可能と聞いていましたので、20代のうちはCRAとして様々な経験を積み、30代になって結婚をして子供ができたらCRCへ転職することも可能だと考え、まずはCRAにチャレンジしてみようと思いました。(元病院の看護師)

質問よくある質問とみんなの回答

Q
なぜCRCではなくCRAか
A
看護師や臨床検査技師、薬剤師をされている方がCRA(臨床開発モニター)の面接を受けると、しばしば「なぜCRC(治験コーディネーター)ではなくCRA(臨床開発モニター)か?」と聞かれます。

なぜなら、日常的に病院で患者様と接している看護師や臨床検査技師、病院薬剤師は、CRA(臨床開発モニター)よりもCRC(治験コーディネーター)のほうに適性があると言われているからです。


(CRA(臨床開発モニター)になるには)

(治験コーディネーター(CRC)になるには)

そのため、看護師や臨床検査技師、病院薬剤師は面接までに、CRC(治験コーディネーター)よりCRA(臨床開発モニター)のほうが良い理由を述べられるように準備しておく必要があります。

しかし、CRC(治験コーディネーター)よりもCRA(臨床開発モニター)のほうが良い理由を述べることは簡単ではありません。

なぜなら、「CRA(臨床開発モニター)の仕事内容」が理解できているのはもちろんのこと、「製薬会社・CROと病院・SMO」「臨床開発や治験」「SMA(治験事務局担当者)やMR(医薬情報担当者)、PV(安全性情報担当者)やDM(データマネジメント)/統計解析、開発企画や研究職など、CRC(治験コーディネーター)やCRA(臨床開発モニター)以外のおおまかな仕事内容」なども理解できていないと、正確に返答できないからです。


(CRA(臨床開発モニター)の仕事内容)

(CRA(臨床開発モニター)の業界研究)

(CRC(治験コーディネーター)の仕事内容)

(治験コーディネーター(CRC)の業界研究)


さて、改めて「なぜCRC(治験コーディネーター)ではなくCRA(臨床開発モニター)か?」と聞かれたときにどのように返答すれば良いのでしょうか? 

最もお勧めの回答は「新薬を開発したいからです」です。

「それだけで良いの?」と思われた方は、以下の点について理解が不足している可能性があります。
-------------
1)新薬を開発するとはどのような活動なのか?
2)新薬を開発するのは誰なのか?
3)治験全体とは何を指しているのか?
-------------

1)~3)について詳しく解説させていただきます。

1)新薬を開発するとはどのような活動なのか?
新薬を開発するとは、「効果が期待できる物質を医薬品にするために、どのような疾患を対象とするか、どのような病院で臨床試験を行うか、などを計画して実行すること」です。計画する人は「開発企画」などと呼ばれることが多いです。そして、実行(を管理)する人は「モニター」と呼ばれます。

つまり、CRA(臨床開発モニター)は「新薬開発の実行を管理(モニタリング)する人」≒「新薬開発を実行する人」≒「新薬を開発する人」と言えることになります。


(CRA(臨床開発モニター)とは)

2)新薬を開発しているのは誰なのか?
新薬を主に開発しているのは製薬会社です。製薬会社とは、医薬品の研究開発・製造・販売を行う会社のことで、新たな薬の研究開発から販売までを手掛ける「新薬メーカー」と、新薬の特許が切れた後に同じ成分で出来た後発品を製造する「ジェネリック医薬品メーカー」に分けられます。

医師主導治験の一部など、大学病院の医師が主体となって新薬開発を行う場合もありますが、大部分の新薬開発は新薬メーカーが行っています。そして、その新薬開発の一部の業務を請け負っている会社がCROです。


(製薬メーカー(製薬企業)のCRAとCROのCRAの違い)

つまり、新薬を主に開発しているのは新薬メーカーですから、新薬を開発するためには新薬メーカーに所属する必要があります。そして、新薬メーカーから新薬開発の一部の業務を請け負っているCROに所属しCRA(臨床開発モニター)として働いている人も、「新薬を開発している」と言えるでしょう。

「研究機関や創薬ベンチャー、大学などが開発しているのでは?」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、研究機関や創薬ベンチャー、大学などが主に行っているのは開発ではなく研究です。研究と開発を混同しないようにしましょう。


(研究と開発の違いがよく分からない。教えて。)

※GCP(医薬品の臨床試験に関する実施基)には、製薬企業が治験実施計画書(プロトコール)を作成し、治験のモニタリングや監査を実施する義務があると書かれています。

3)治験全体とは何を指しているのか?
治験とは厚生労働省から新薬として承認してもらうために行われる、健康な人や患者に対し薬の安全性や有効性を確認する臨床試験のことを言います。しかし、治験全体の範囲は以下のようにいくつも考えられます。


(臨床開発/治験とは)

(治験と臨床開発の違いは何ですか)

治験全体(パターン1)・・プロトコールの作成~統計解析~PMDAに治験終了届書を提出まで
治験全体(パターン2)・・IRB開催~最終観察または追跡調査等の終了まで(病院で行われる広義の治験)
治験全体(パターン3)・・病院で行う勉強会~症例数が契約数に達するまで(病院で行われる狭義の治験)

パターン1のプロトコールの作成や統計解析などにはCRA(臨床開発モニター)は携わりません。
パターン2のIRB開催はSMAを兼ねているCRC(治験コーディネーター)や、CRCリーダーも関わることがあります。また、最終観察や追跡調査などはCRA(臨床開発モニター)以外が行うことが一般的です。
パターン3はCRC(治験コーディネーター)も関わります。CRA(臨床開発モニター)は被験者対応に関われないため、CRC(治験コーディネーター)よりも治験全体に関われないとも言えます。

つまり、「CRC(治験コーディネーター)と違ってCRA(臨床開発モニター)は治験全体に関わることができる」という発言は、面接官から「正確ではない発言」「製薬業界への理解不足」などと思われてしまう可能性のある発言であると言えます。

まとめますと、「なぜCRC(治験コーディネーター)ではなくCRA(臨床開発モニター)なのか」と聞かれたときは「新薬開発を行っている製薬会社から新薬開発業務を受託しているCROに所属して、新薬開発の実行を管理すること(モニタリング)はCRC(治験コーディネーター)にはできないからです。」を短くした「新薬を開発したいからです」と述べれば良いことになります。


他の回答として
-------------
・製薬業界の一員として新薬の開発に携わりたいから
・新薬を開発している製薬会社をサポートしたいから
・モニタリングのほうに興味があるから
・新薬の開発により携わりたいから
-------------
などとも述べても良いでしょう。

また、
-------------
・英語力を活かして新薬を開発したいから(応募先が外資系の場合に特に有効)
・将来は臨床開発のプロジェクトを主導したいから
・薬の知識や前職の経験をより生かせる(薬剤師など)
・医師に対する交渉力を活かせる(MRやMSなど)
-------------
などを付け加えることもできます。


(CRCではなく、なぜCRA(臨床開発モニター)なのですか?)


CRC(治験コーディネーター)にできなくてCRA(臨床開発モニター)にできることは新薬開発の実行を管理する(モニタリング)以外に、「外資系で働くこと」「被験者と接しないこと」などもございます。

病院やSMOは外資系の参入が規制されているため、外資系の病院やSMOに所属してCRC(治験コーディネーター)として働ける機会はほとんどありません。しかし、製薬会社やCROの約半数は外資系ですから、製薬会社やCROに所属するCRA(臨床開発モニター)は外資系で働くことができます。それは、「英会話を使って仕事をする機会があること」を意味します。


(CRO企業・業界ランキング)

(製薬会社ランキング)

ですから、CRC(治験コーディネーター)ではなくCRA(臨床開発モニター)のほうが良い理由として、帰国子女などの英会話が得意な方で外資系へ応募されている場合は、「英会話力を活かせる」とも述べることも可能です。


(英語を使用する場面はありますか?)

CRA(臨床開発モニター)は被験者と接することができません。それは、CRA(臨床開発モニター)が接する外部の全ての人が、基本的には会社や病院などの何らかの組織に属しているときに接することを意味します。つまり、CRA(臨床開発モニター)には個人営業ではなく法人営業に求められる能力が必要になると言えます。

法人営業と個人営業の違いは色々ありますが、法人営業は「複数の決裁権者に対し、具体的に商品・サービスのメリットを示すこと」、個人営業は「目の前の一人の信頼を勝ち取ること」が重要であるため、法人営業のほうが相手の立場や状況を理解したうえで、論理的にメリットを伝えるプレゼン力が求められると言えます。

ですから、組織に対する交渉経験が豊富な方は、CRC(治験コーディネーター)でなくCRA(臨床開発モニター)のほうが良い理由として「交渉力を活かせるから」とも述べることができます。


(CRA(臨床開発モニター)とMR(医薬情報担当者)の違い)


色々と説明してきましたが、「なぜCRC(治験コーディネーター)ではなくCRA(臨床開発モニター)なのか」の質問に返答することが難しい最大の理由は、CRC(治験コーディネーター)とCRA(臨床開発モニター)の業務内容に大きな違いがないからです。全く同じではありませんが、重なっている業務が多く、仕事内容がとても似ています。


(CRA(臨床開発モニター)とCRC(治験コーディネーター)の違い)

CRC(治験コーディネーター)とCRA(臨床開発モニター)の仕事内容が似ているため、「CRA(臨床開発モニター)の仕事内容はCRC(治験コーディネーター)と違う」と説明すると、面接官から「CRC(治験コーディネーター)でも似たようなことができるよね」と言われて、ピンチに陥りやすくなります。

ですから、CRC(治験コーディネーター)よりもCRA(臨床開発モニター)のほうが良い理由を述べるときは、「CRC(治験コーディネーター)とは仕事内容が違う」と述べることは避け、「CRC(治験コーディネーター)でも良いが、CRA(臨床開発モニター)のほうがより開発に携われる」のように、「より~できる」と述べると、スムーズな返答をしやすくなることを覚えておきましょう。


<面接を想定した返答一例>

Q:新薬を開発するのはCRC(治験コーディネーター)でもできるのでは?
A:新薬を開発する組織に属して新薬を開発することはできません。そのため、CRC(治験コーディネーター)よりもCRA(臨床開発モニター)のほうが、より新薬を開発していると考えます。
A:GCPには製薬側がモニタリングや監査を行うと書かれており、病院側に所属するCRC(治験コーディネーター)ではモニタリング業務が行えません。

Q:治験は病院で行われている。治験コーディネーター(CRC)でも良いのでは?
A:私が治験が行われている場所よりも、新薬を開発することに興味があります。

Q:患者様と接した経験を活かせるのはCRC(治験コーディネーター)では?
A:私がやりたいことは新薬の開発です。

Q:新薬を開発したいなら、CRA(臨床開発モニター)ではなくPV(安全性情報担当)やDM(データマネジメント)、品質管理(QC)や薬事などでも良いのでは?
A:看護師の経験(コミュニケーション力、病院の理解など)を最も活かせるのはCRA(臨床開発モニター)だと考えます。

<役に立つの質問>

CRCとCRAのどちらを選べば良いでしょうか?

製薬会社とCROのCRA(臨床開発モニター)は何が違うのでしょうか。

製薬会社の開発職とCROの開発職ってどういう違いがあるのでしょうか??

製薬メーカーのCRAへ転職する際に気をつけることやリスクは何がありますでしょうか。
Q
CRCとCRAになるのでは、どちらが難しいですか?
A
CRAのほうが難しいという記事を目にすることが多いのですが、未経験からCRC、もしくはCRAを目指す場合については一概にそうとも言えません。誤解をされている方も多いため、下記に説明をさせていただきます。

病院の薬剤師(20代)、保健師(20代)
同じぐらい
病院の薬剤師(30代)、保健師(30代)
CRAのほうが難しい

調剤薬局の薬剤師(20代)、MR(20代)、獣医師(20代)
CRCのほうが難しい
調剤薬局の薬剤師(30代)、MR(30代)、獣医師(30代)
CRAのほうが難しい

看護師、臨床検査技師、管理栄養士、臨床工学技士、診療放射線技師、作業療法士、理学療法士、臨床心理士
CRAのほうが難しい

理系院卒者、MS、医療機器営業
CRCのほうが難しい

CRCは豊富な臨床経験が求められることが多いのに対して、CRAは年齢が20代であることや地頭の良さが求められることが多いです。

なぜなら、CRCは直接、患者様と対応する必要があり、病院の中で働く時間が長いため豊富な臨床経験があることが求められます。逆に頭の良さはCRAほど重要視されず、年齢も30代であればチャンスがあります。

それに対してCRAは一人前になるのに時間がかかるため年齢が若いことと、短い時間で多くのことを記憶する必要があるため地頭の良さが求められます。逆に患者様と直接、接することはなく、病院の中で働く時間も短いため、臨床経験の有無はCRCほど重要視されません。

このように、CRCとCRAは求められるものが異なるため、応募者の経験によって選考の難易度が異なります。

では、CRC経験者がCRAへ転職する場合と、CRA経験者がCRCへ転職する場合ではどちらが難しいのでしょうか。

答えはCRC経験者がCRAへ転職する場合です。理由はCRAへ転職する場合のほうが年齢制限が厳しいからです。

以上のことを考慮したうえで、将来のキャリアプランも加味して、どちらへ転職すれば良いのかを決められると良いと思います。

例えば、将来、地元である地方へ戻って暮らしたいと思っているMRは早めにCRAへ転職をして、結婚をして地元へ戻るのに合わせてCRCへ転職するというキャリアプランが描けますし、地方に住んでいる専門・短大卒の看護師であれば、いきなりCRAへ転職するのではなく、まずは地方でCRCへ転職した後にCRAへチャレンジするという選択をしても良いでしょう。

CRCとCRAのどちらへ転職したほうが良いかは、様々な要因があるため、なかなか一人では分からないと思います。悩んだ際は一度《CRAばんく》へご相談くださいませ。CRCとCRAのどちらの転職にも詳しい専任のコンサルタントが回答をさせていただきます。


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(CRCとCRAのどちらを選べば良いでしょうか?)
Q
CRCとCRAのどちらを選べば良いでしょうか?
A
「CRCとCRAのどちらへ転職しようか?」と迷われている看護師さんは、他にもいらっしゃいます。

以下で他の看護師さんが、CRCとCRAをどのように選ばれていらっしゃるかをまとめましたので、転職活動の参考にしていただけますと幸いです。

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1)患者様と接する機会の有無で選ぶ

! 患者様と接したいならCRC、患者様と接したくないならCRA !

CRCは毎日のように被験者(患者)と接します。CRCは被験者にとって、治験について相談できる最も身近な存在です。CRCは看護師のときの患者様とのコミュニケーション能力をそのまま活かせますし、被験者とは試験内容だけでなく、趣味やニュースなどの雑談もします。

それに対して、CRAは被験者と接することはありません。看護師のときに培った患者様とのコミュニケーション能力を活かせる機会は少なく、仕事中に被験者とおしゃべりをする時間もありません。

看護師からCRCへ転職される方は、「今後も患者様と接していたい」「患者様とのつながりは絶ちたくない」と思われている方が多いです。逆に看護師からCRAへ転職される方は「今後は患者様と接したくない」「患者様からできるだけ離れたい」「仕事中のおしゃべりは時間の無駄」と思われている方が多いです。

「患者様との時間は少しあったほうが良い」と思われているならCRCを、「患者様との時間は全く必要ない」と思われているならCRAを選ばれると良いでしょう。


(CRCは被験者と雑談する時間は多いですか?少ないですか?)


2)働く場所で選ぶ

! 病院で働きたいならCRC、病院で働きたくないならCRA !

CRCの雇用先は病院やSMOですから、働く場所は主に病院やクリニックになります。つまり、CRCへ転職した後も、看護師のときと同じように病院で働き続けることになります。

それに対して、CRAの雇用先は製薬会社やCROですから、働く場所は製薬会社やCROになります。CRAも月に数回程度、病院やクリニックを訪問することはありますが、CRCと異なり毎日のように病院やクリニックへ通いません。

看護師からCRCへ転職される方は、「今後も病院で働きたい」「さすがに病院から完全に離れるのはちょっと・・」と思われている方が多いです。逆に看護師からCRAへ転職される方は、「とにかく病院で働きたくない」「病院からできるだけ離れて働きたい」と思われている方が多いです。

働く場所が病院やクリニック以外であるCRAは、再び看護師として病院やクリニックに戻ることがCRCより難しくなります。10~20年後に再び看護師として病院やクリニックで働きたいと思っても、看護師として復職するハードルが高くなります。

「再び看護師として働く可能性が少しはあるかもしれない」と思われているならCRCを、「再び看護師として働く可能性は全くない」と思われているならCRAを選ばれると良いでしょう。


(CRCの一日と一週間)

(CRAの一日と一週間)


3)在宅勤務の多さで選ぶ

! 何にも優先して在宅勤務がしたいならCRA !

在宅勤務を利用できる頻度は、CRCが月に数回に対してCRAは週に数回あり、CRAのほうが多いです。オフィスへの出社が週に1回で良かったり、完全に在宅勤務で働ける製薬会社やCROも存在しています。

在宅勤務は通勤の負担がなくなるため、プライベートの時間が増えます。また、育児と家事との両立がしやすくなったり、転勤しても仕事を続けやすいです。そのため、「できれば在宅勤務で働きたい」と思われている看護師さんは多くいらっしゃいます。

CRCは、被験者(患者)の診察に同席する必要があったり、カルテを持ち出せなかったり、何をするにも医師の指示や許可が必要などの理由から、在宅勤務を利用できる機会は限られています。

それに対して、CRAはほとんど全ての業務を在宅でこなせるため、オフィスへの出勤を週に2~3回としている製薬会社やCROは珍しくなく、週に0~1回で良いとしているCROも存在しています。

看護師からCRAへ転職される方は、「とにかく在宅勤務で働きたい」「在宅勤務さえできれば他の条件は何でも良い」と思われている方が少なくありません。

在宅勤務を多く利用できることが何よりも重要ならCRAを、今まで通り病院で働いても大丈夫ならCRCを選ばれると良いでしょう。

ただし、在宅勤務は社員同士のコミュニケーションが減って孤独になりやすいことや、運動不足になるなど自己管理が難しくなるなどのデメリットもあります。

また、コロナが収束するにつれて、在宅勤務の利用回数を減らす製薬会社やCROが多く見られることや、DCT(分散型臨床試験)の普及が進むと、CRCも在宅勤務の利用頻度が増えると予測されていることも知っておきましょう。


(CROでの在宅勤務について)

(CRCは在宅勤務(リモートワーク/テレワーク)ができますか)


4)年収へのこだわりで選ぶ

! 何にも優先して高い年収がほしいならCRA !

CRAの平均年収はCRCより100~150万ほど高いです。CRAがCRCより高い年収をもらえる理由は「最終学歴が高い」「労働時間が長い」「責任が重い」「製薬業界の平均年収が高い」など色々ありますが、最も大きな理由は外資系の会社で働けるからだと考えられます。

CRCが所属する病院やSMOは外資系の参入が規制されており、外資系の病院やSMOは基本的には存在していません。それに対して、CRAが所属する製薬会社やCROの約半分は外資系です。外資系の給料が高い理由は「成果主義」「リストラされやすい」「グローバル企業が多い」「英語力が必要」などだと考えられます。

CRAとCRCの年収の差は、年数が経過するごとに大きくなる傾向が見られます。CRCで年収1000万円をもらうことは簡単ではありませんが、CRAであれば20~30年後なら十分に可能性があります。

「年収に人一倍のこだわりがある」「将来は年収1000万円を目指したい」と思われているならCRAを、「年収にそこまでのこだわりがない」と思われているならCRCを選ばれると良いでしょう。


(CRAの給料・年収の詳細)

(CRCの給料・年収の詳細)

(なぜCRCよりもCRAのほうが給料が高いのでしょうか)


5)患者様と薬のどちらに興味があるかで選ぶ

! 患者(被験者)に興味があるならCRC、薬(治験薬)に興味があるならCRA !

CRCは患者に詳しく、CRAは薬に詳しいです。

CRCは「被験者の症状や状態」などについて、医師やCRAから聞かれたらすぐに返答できるように、日頃から患者様とコミュニケーションをとって、信頼関係の構築に努めています。

CRAは「治験薬の性質や組成、有効性や安全性」などについて、医師やCRCから聞かれたらすぐに返答できるように、プロトコールや治験薬概要書を読み込み、治験薬の有効性や安全性に関する情報のアップデートを欠かしません。

「治験薬や薬に興味はないけれど、患者様は色々な方がいて飽きないなあ」と思われているならCRC、「被験者に興味はないけれど、治験薬や薬の作用機序や毒性を知るのが楽しいなあ」と思われているならCRAを選ばれると良いでしょう。

実際に看護師からCRAへ転職される方の多くは、過去に薬剤師を目指していたことがあるなど、以前から薬に人一倍の興味を持っていた方が多いです。


(なぜCRCではなくCRAか)


6)英語の得意不得意で選ぶ

! 英語が得意ならCRA !

CRAとCRCのどちらも国際共同治験(グローバル治験)を担当する場合は、英語で書類を作成したり、英語で書かれた資料を読んだりするため、英語の読み書きの能力が必要になります。

ただし、CRCよりもCRAのほうが高い英語力を求められる可能性があります。なぜなら、CRAが所属する製薬会社やCROの約半数が外資系だからです。外資系企業では交通費の申請などの日常業務をするときにも英語力が必要になる場合があります。また、管理職以上になると、海外とテレビ会議をする際にビジネスレベルの英会話力が必要になります。

CRAやCRCに求められる英語力は主に「所属する会社」と「担当する治験の種類」によって変わります。CRAであっても内資系の会社に所属しており、国内の治験を担当している場合、英語力を求められる場面がほとんどないことも知っておきましょう。

「英語が得意」「英語を勉強するのが好き」と思われているならCRA、「英語は苦手」「できれば英語を勉強したくない」と思われているならCRCを選ばれると良いでしょう。


(CRAには英語力がどれぐらい必要なのでしょうか?)

(治験コーディネーターは英語を使いますか?)


7)選考の通過しやすさで選ぶ

! 不採用になるのが嫌ならCRC !

看護師はCRAよりCRCのほうが選考に通過しやすいです。

CRCは看護師の経験を大いに活かせる職種です。CRCが働く場所は看護師と同じ病院やクリニックですから、治験を行うためにどの部署と調整すれば良いかを知っています。また、被験者の対応をするときに患者様と接してきた経験をそのまま活かせます。CRCと看護師の相性は抜群に良いです。

しかし、CRAはCRCほど看護師の経験を活かせない職種です。CRAが働く場所は看護師に馴染みのない製薬会社やCROですから、治験を行うためにどの部署と調整すれば良いか分かりません。また、患者様と接してきた経験をそのまま活かせる機会はありません。

実際に看護師からCRAへ転職された方の多くは「看護師の経験はほとんど活かせなかった」とおっしゃっています。

CRCへ転職された看護師は、「CRCの選考は看護師の3倍ぐらい難しい」と感じている方が多いです。そのCRCの選考よりさらに難しいのがCRAです。

看護師からCRAへ転職されるなら、「後にも先にもCRAへ転職するときより難しい選考はない」ぐらいの覚悟を持って挑戦されると良いでしょう。


(CRAの転職難易度について)

(CRCとCRAになるのでは、どちらが難しいですか?)

(CRCの選考は看護師と比べて何倍ぐらい難しいのでしょうか?)

(看護師からCRAへ転職した時にとまどうこと)


8)勉強の得意不得意で選ぶ

! 勉強が苦手ならCRC !

CRAが扱う書類は、治験実施計画書や治験薬概要書など種類が多く内容も複雑です。CRAはその書類を正確に素早く理解し、医師やCRCに簡潔に伝えたり、質問を受けたら適切に回答することが必要です。そして、多数の複雑な書類を、正確に素早く理解する能力は、学力と比例する傾向があります。

CRCの主な業務は被験者や他の医療専門職の間にたち、治験がスムーズに進むように調整することです。臨床現場で上手に立ち回る能力は、必ずしも学力と比例しません。

実際にCRCの約4割が専門・短大卒です。それに対して、専門・短大卒のCRAは1割以下です。また、CRAの約半数は6年制の大卒か院卒です。専門・短大卒の看護師が応募できる求人は少ないです。

大卒の看護師であっても、薬剤師や修士卒のCRAと一緒に仕事をするときは、ついていけるか不安を感じる方が多いです。専門・短大卒ならなおさらです。実際にCRAの研修中に「周りの人ができる人ばかりで、この仕事を続けていける自信を無くした」と感じて、早期に退職される看護師が一定数いらっしゃいます。

勉強が得意なら、CRCとCRAのどちらを選ばれても構いません。しかし、勉強が苦手ならCRCを選ばれると良いでしょう。

ただし、専門・短大卒であっても、「英語力が高い」「CRCの経験がある」「高校の偏差値が60以上」などの場合は、CRAとしても活躍できる可能性がありますので、積極的に挑戦されても良いでしょう。


(CRAになるのに大卒じゃなくても大丈夫ですか?)

(CRCになるのに学歴は関係ありますか?)

(CRAの仕事についていけないという理由で退職された方はいらっしゃいますでしょうか)


9)やりがいの実感しさすさで選ぶ

! 人との関わりや感謝の言葉を通して、喜びややりがいを実感したい人はCRC !

CRCは被験者と接するため、治験薬の効果を自分の目で見ることができます。治験薬の効きめが大きければ被験者はとても喜ばれますし、感謝の言葉ももらえます。CRCが「この仕事をやっていて良かった」と思える瞬間です。

しかし、CRAは被験者と接しないため、治験薬の効果は書類を通して間接的に見ることしかできません。治験薬の効きめが高くても、被験者から「ありがとう」と言われることもありません。そのため、CRAはCRCよりもやりがいを実感しにくい職種と言えます。

仕事のやりがいは、被験者が喜ぶ姿を見る以外にもたくさんございますが、CRAの業務内容は総じて成果が見えづらいため、やりがいを実感しにくいです。

喜びややりがいの実感しやすさを重視したいなら、CRCを選ばれると良いでしょう。


(CRCのやりがい)

(やりがいが大きいのは看護師と治験コーディネーターのどちらですか)

(CRAのやりがい)


10)宿泊を伴う出張の可否で選ぶ

! 宿泊を伴う出張ができないならCRC !

多くのCRAは月に数回程度、全国の医療機関へ訪問して業務を行っています。東京や大阪に住んでる方であれば、北海道・東北や九州・四国にある医療機関へ訪問する必要があるときは、宿泊を伴う出張が必要になる場合が多いです。仕事の状況によっては連泊になることもあります。

それに対して、CRCは宿泊を伴う出張は基本的に発生しません。

「ペットを飼っている」「小さな子どもがいる」「介護が必要な祖父母がいる」「彼氏と離れたくない」「ホテルに一人で泊まるのは避けたい」などの理由から、数日間に渡って家を留守にできない看護師が、CRAへ転職することは難しいと言えます。

「家を留守にできない」「仕事で宿泊することは避けたい」と思われているなら、CRCを選ばれると良いでしょう。


(CRAは月に何回ぐらい出張するのでしょうか)


11)お住まいの都道府県で選ぶ

! お住まいが東京・埼玉・千葉・神奈川・大阪・兵庫(・福岡・愛知・岐阜)以外ならCRC !

CRAは在宅勤務を利用しやすいとはいえ、週に数回はオフィスへの出社が求められることがほとんどです。そのため、地方にお住まいの看護師がCRAへ転職することは難しいです。

数年以上の在籍期間がある方CRA経験者であれば、地方に住みながらCRAとして働き続けることが可能な会社も少しずつ増えていますが、CRA経験のない方がすぐに完全在宅で勤務することはできません。

しかし、CRCなら治験が行われている病院さえあれば、地方でも働けます。

東京周辺や大阪周辺(まれに福岡や名古屋)に住んでいない方は、CRCを選ばれると良いでしょう。


(地方在住者ですがCRAへ就職できますか?)

(地方はCRAの求人が少ない?)


12)価値観で選ぶ

! 合理性を重んじる人はCRA、感情を大切にする人はCRC !

CRAが一緒に仕事をする人は、やるべき仕事をたくさん抱えている医師やCRCです。そのため、CRAは「要点を簡潔に伝えることが何よりも重要だ」という、合理性を重視する価値観をもちやすくなります。CRAにとって、効率の追求や、生産性の向上は最優先事項です。

それに対して、CRCは時間に余裕のある被験者とも接して仕事をします。被験者は合理性よりも、気持ちや想いなどの感情を大切にしている方が多いです。その結果、CRCは「人の気持ちを尊重して行動することが何よりも重要だ」がという価値観をもちやすくなります。

CRAはドライ、冷静、理性的な人が、CRCはフレンドリー、親しみやすい、優しい人が向いていると言えます。

合理性はとても重要だと考える人はCRAを、感情を大切にしたいと考える人はCRCを選ばれると良いでしょう。

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(CRAとCRCの違い)

(CRCとCRAの違い)

(CRAとは)

(CRCとは)

(CRCとCRAになるのでは、どちらが難しいですか?)
Q
治験と臨床開発の違いは何ですか。
A
どちらも厚生労働省から「薬」として承認を受けるために、必要なデータをそろえる臨床試験のことを指す意味として使われることが多いです。

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治験≒臨床開発
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臨床開発という言葉には、人体で新薬を実験するという言葉の響きがあります。そのため、病院の医師は患者様に対して臨床開発と言わずに治療に近い言葉の響きである治験を好んで使うようです。

ですから、例えば治験薬を投与する行為に対して、病院で働いている人は「治験を行う」、製薬会社で働いている人は「臨床開発を行う」と言います。

他にも臨床開発は治験だけでなく、臨床研究や臨床試験も含めた試験全般という意味で使う場合もあります。

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臨床試験(治験や臨床研究を含む)≒臨床開発
----

より正確に区別するなら、厚生労働省から「薬」として承認を受けるために必要なデータをそろえる臨床試験のことを治験と言い、製薬会社や医療機器開発会社、CROなどが厚生労働省から「薬」として承認を受けるために必要なデータをそろえる活動のことを臨床開発と言います。

つまり、治験とは病院で行われる臨床試験のことで、臨床開発とは新薬の承認を受けるために必要なデータをそろえる活動のことです。

病院が行うのは治験(CRC/SMA/PI/SI)であり、臨床開発は治験に加えて病院が行わない治験計画の立案作成(企画開発)、モニタリング(CRA)、有効性・安全性の確認(DM/統計)、安全性の確認(PV)、国への承認申請(薬事/MW)までを含めます。 ※()内は関わる職種名

ですから、臨床開発を行うと言った場合、治験だけでなく治験計画の立案作成から国への承認申請までを行うことを意味します。

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臨床開発(治験を含む)
※開発は非臨床開発(動物実験)と臨床開発(治験を含む)に分けられる
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※説明が複雑になるため医師主導治験は考慮せずに説明しています。
Q
CRCとCRAを同時に応募したほうが良いでしょうか?
A
CRCとCRAを同時に応募されるより、どちらか片方に絞って応募されたほうが、効率的に転職活動を進めることができます。

例えば、A社のCRCとB社のCRCの求人へ同時に応募された場合、用意する応募書類はCRC用に1種類で済みますし、A社とB社を比較しながら志望動機を作成できます。

それに対して、A社のCRCとC社のCRAの求人へ同時に応募されますと、CRCとCRA用に2種類の応募書類を作成する必要があります。また、A社に向けた志望動機を作成するためにCRCを募集しているB社も調べて、C社に向けた志望動機を作成するためにCRAを募集しているD社も調べる必要があります。

つまり、CRCとCRAへ同時に応募されると、どちらか片方に絞って応募するより、およそ2倍の手間がかかることになります。

その結果、CRCとCRAのどちらか片方へ応募するより、CRCとCRAへ同時に応募されるほうが準備不足になりやすく、「仕事内容が理解できていない」「志望動機が曖昧」「企業研究が足りていない」などの理由で不採用になりやすくなると言えます。

ですから、CRCかCRAのどちらかに絞って応募されたほうが、選考に通過できる可能性が高くなります。

CRCとCRAの選考難易度を比べた場合、MR以外の薬剤師・看護師・臨床検査技師などは、CRAのほうが難しい場合が多いです。そのため、薬剤師・看護師・臨床検査技師などは、まずはCRAに絞って転職活動を行い、残念ながら主な応募先が全て不採用になってしまったら、応募先をCRCへと切り替えて転職活動を続けられる方が多いです。
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