地方在住者ですがCRAへ就職できますか？

CRA（臨床開発モニター）のキャリアというと、製薬会社から治験を請け負うCROで働くのが一般的ですが、ARO（アカデミック・リサーチ・オーガニゼーション）※1でモニターとして働く道があります。

AROは、主に大学病院などの研究・医療機関に設置されている組織です。製薬会社が主導する「治験」をサポートするCROとは異なり、AROは医師が主体となって行う「医師主導治験」や「臨床研究」を支援するのが大きな役割です。

例えるなら、CROが「製薬会社の開発パートナー」であるのに対し、AROは「大学や医師の研究パートナー」というイメージです。

大学病院は全国各地にあります。そのため、AROのモニターは特定の地域に腰を据えて働ける可能性が高いです。CROのように担当施設によって全国出張が頻繁にあったり、転勤になったりするケースは少ないです。

また、AROが支援するのは、医師が「この新しい治療法を世の中に届けたい」という熱意をもって始める研究が中心です。そのため、アカデミア発の最先端の研究に、研究チームの一員として深く関わることができます。

ただし、医師主導の研究は、国からの補助金や公的研究費で運営されることが多く、期間が定められたプロジェクト単位で進められます。そのため、AROのモニターの雇用形態も、その研究プロジェクトの期間にあわせた「有期雇用」が中心となる場合が多いです。

そのため、継続して働くには、別のプロジェクトの募集を探し続けたり、AROでの経験を活かしてCROやSMOへ転職したりと、長期的なキャリアプランをご自身で考えていく必要があります。


※1ARO（アカデミック臨床研究機関：Academic Research Organization）　
研究機関や医療機関を持つ大学などが、その機能を活用して医薬品開発を含む臨床研究や非臨床研究を支援する組織のことです。薬機法よりも臨床研究法に基づく業務の割合が多いと言われています。CROと混同されやすいですが、AROは組織規模が小さいことが多く、希少疾患の研究に対応しやすいと言われています。予算が限られることが多いため、「チープCRO」とも呼ばれることがあります。

医師主導治験の詳細については以下のURLをご参考ください。
https://cra-bank.com/keijiban?gu=101
（企業治験と医師主導治験のどちらの経験が評価されますか。）

地方在住者でもCRAとして就職することは可能です。ただし、いくつかの注意点や考慮すべき点があります。

地方在住者がCRA就職を目指す際のポイント

1. 勤務形態の確認:
   ◆ リモートワークの可能性: 近年、リモートワークを導入する企業が増えており、CRAの業務でも一部リモートワークが可能な場合があります。求人情報に「リモートワーク可」「在宅勤務可」などの記載があるか確認しましょう。フルリモートワークの求人もあります。
   ◆ 出張頻度の確認: リモートワークが中心であっても、治験施設への訪問など、出張が発生する場合があります。出張頻度や出張先（主に治験実施医療機関）がどの程度になるのか、事前に確認しておきましょう。
   ◆ 転勤の可能性: 入社後、転勤の可能性はあるか、あるとすればどの程度の頻度か、事前に確認しておきましょう。
   
   
2. 求人情報の探し方:
   ◆ 全国展開しているCROに注目: 全国に拠点を持つCROは、地方在住者でも採用している可能性が高いです。
   ◆ 地方拠点を持つ企業に注目: 一部の製薬会社やCROは、地方に拠点を設けている場合があります。そのような企業を探してみるのも良いでしょう。
   ◆ 《CRAばんく》の活用: 転職サイトで勤務地を「全国」や「地方」で絞り込んだり、《CRAばんく》に地方在住であることを伝えて求人を紹介してもらったりすることで、地方在住者向けの求人情報を見つけやすくなります。
   
   
3. 面接でのアピール:
   ◆ 地方在住であることのメリットを伝える: 地方在住であることで、例えば「地元医療機関とのネットワークがある」「地方の医療事情に詳しい」など、何らかのメリットがあれば、積極的にアピールしましょう。
   ◆ 出張や転勤への対応について明確に伝える: 出張や転勤が可能であることを明確に伝え、企業側の不安を解消することが重要です。
   
   
4. CRCからのキャリアアップ:
   ◆ 地方の医療機関でCRCとして経験を積む: 地方の医療機関でCRCとして経験を積むことで、治験に関する知識や経験、医療機関とのネットワークを構築することができます。その後、CRAへのキャリアアップを目指すのも有効な手段です。
   
   

地方在住者がCRAとして働くメリット

地方在住者がCRAとして働くことには、以下のようなメリットも考えられます。

◆ 生活費が比較的安い: 都市部に比べて生活費が安く、経済的にゆとりを持って生活できる可能性があります。
◆ 自然環境が良い: 自然豊かな環境で、落ち着いて仕事に取り組むことができる可能性があります。
◆ ワークライフバランスを取りやすい: 都市部に比べて通勤時間が短く、ワークライフバランスを取りやすい可能性があります。

まとめ

地方在住者でもCRAとして就職することは可能です。リモートワークの普及や、地方拠点を持つ企業の存在など、地方在住者にとって働きやすい環境も整いつつあります。