MRがCRA(臨床開発モニター)に転職する際の注意点を、3つのステップに分けて詳しく解説します。
MRは製薬企業や医療現場で培ったスキルや知識を活かして、CRA(臨床開発モニター)に転職することができます。しかし、その一方で注意すべきポイントもあります。
この記事では、CRA(臨床開発モニター)へ転職した場合の年収・給与の変化や、MRとCRAのどちらに適性があるかを判断する方法、MRからCRA(臨床開発モニター)への転職は時間と労力がかかることなど、MRがCRA(臨床開発モニター)に転職するために必要な情報をお伝えします。
MRの方々は、この記事を参考にして、CRA(臨床開発モニター)への転職活動を成功させましょう。
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CRAへ転職した場合の年収・給与について
MRからCRA(臨床開発モニター)へ転職すると、初年度の年収・給与が大幅に下がる可能性がある。
MRからCRAに転職すると、初年度の年収・給与は下がる場合が多い
MRとして2~3年程度の経験を積んだ方がCRA(臨床開発モニター)に転職すると、年収は100万円程度減ることが多いです。また、MRとして4~6年程度の経験を積んだ方がCRA(臨床開発モニター)に転職すると、年収が200~300万円ほど減ることもあります。
CRA(臨床開発モニター)の業務内容や労働条件に興味を持ち、MRからCRA(臨床開発モニター)への転職を考えたものの、初年度の年収が大きく下がることを知って転職をあきらめるMRは少なくありません。
MRとCRAの年収比較(20代)
※100名のCRAばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2024年11月、有効回答数:N=100)。
※MRは2018年の賃金構造基本統計調査のデータを独自に加工して作成。
- MRの平均年収は20代の男性が500~600万円、女性が400~500万円となっています。
- CRAの初年度の年収は400~500万円前後の提示を受けることが多いです。
- 男性のMRは年収が100万円前後下がり、女性のMRはほぼ同じ金額になる場合が多いです。
MRとCRAの年収推移の比較
CRA(臨床開発モニター)の平均年収は約619.1万円です。これはMRの平均年収と比べてわずかに低いですが、大きな差があるとは言えません。
MRは最も給与が高い職種の一つとされていますが、CRA(臨床開発モニター)の給与もMRに劣らないほど高いため、給与面での差はほとんどないと言ってもよいでしょう。
年収の比較
※CRAは423名のCRAばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2024年11月、有効回答数:N=423)。
※MRは2018年の賃金構造基本統計調査のデータを独自に加工して作成。
- MRの平均年収は20代が約500万、30代が約650万、40代が約800万円です。
- CRAの平均年収は20代が約500万、30代が約650万、40代が約800万円です。
- MRよりもCRAの方が平均年収は低いですが、その差は大きくありません。
しかし、外資系の大手の製薬会社で働く40代の管理職の開発職と比較すると、MR職の給与改革が進む中では、年収の差はそれほど大きくならないことが多いです。
もちろん、インセンティブをたくさんもらっているMRには及びませんが・・。
MRとCRAのどちらが自分に適しているかを自己分析する
「営業に適性がない」「営業が苦手」と感じるならば、CRA(臨床開発モニター)への転職を積極的に考えてみよう。
MRの主な役割は、市販後の薬剤の売上拡大や市場シェアの向上です。そのため、MRには営業的要素が強く求められます。
一方で、CRA(臨床開発モニター)の主な役割は、市販前の薬剤開発の進行管理です。そのため、CRA(臨床開発モニター)には事務的要素が強く求められます。
MRとして高い成果を上げている場合、競争の激しい市場で目標を達成するための営業力を備えていると考えられ、MRへの適性が高いと言えます。したがって、CRA(臨床開発モニター)への転職は慎重に検討したほうがよいでしょう。
一方で、MRとしてあまり成果を上げられていない場合は、CRA(臨床開発モニター)への転職を積極的に検討することも一つの選択肢です。なぜなら、CRA(臨床開発モニター)はMRと比べて営業力があまり重視されないからです。臨床試験への医師の協力を得る必要はありますが、MRとして身に付けた営業スキルで十分に対応できる場合が多いです。
特に、データの収集や管理、報告書作成などの事務作業を得意とする方は、CRA(臨床開発モニター)に転職することで、MRのときよりも自身の能力を発揮できる可能性が高いと言えます。
CRAとMRの役割と求められる能力
CRA | MR | |
市販前の薬剤開発の進行管理 | 主な役割 | 市販後の薬剤の売上拡大、市場シェア向上 |
正確な事務処理能力とコミュニケーション能力 | 最も求められる能力 | 優れた営業力とコミュニケーション能力 |
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- CRAとMRの違い
MRに向いている人、CRAに向いている人
MRに向いている人
- 1
- 営業が好きで自信がある
- 2
- 自分の成果は数字で明確に評価されたい
- 3
- 単独での行動も問題ない
- 4
- 仕事中に自由時間があっても苦にならない
- 5
- 英語に特別な興味がない
- 6
- 車の運転が得意
- 7
- 飲み会やゴルフなどの社交的な活動が好き
CRAに向いている人
- 1
- 事務作業が好きで自信がある
- 2
- コミュニケーション力はあるが、営業は好きではない
- 3
- 他人に何かをお願いすることが得意
- 4
- 勉強が好き
- 5
- 英語が好き
- 6
- スケジュール管理や調整業務が得意
- 7
- 旅行が好き
- MRに向いている方は、営業活動に自信を持ち、自己の成果を数字で評価されることを好む方です。また、単独で行動することも問題なく、仕事中に少しの自由時間があっても苦にならない方です。車の運転が得意で、社交的な活動(飲み会やゴルフなど)を楽しむことができます。勉強や英語に特別な好き嫌いはありません。どのような人とも仲良くなれる社交性があり、体育会系の精神を持っています。
- CRAに向いている方は、事務作業が好きで得意としており、コミュニケーション能力はあるものの、営業活動には関心が薄い方です。他人に何かをお願いすることが得意で、スケジュール管理や調整業務に長けています。また、勉強や英語、旅行が特に好きな方です。コミュニケーションでは正確性を重視する傾向があり、事務作業は誰よりも速く正確にこなします。
- MRは男性が、CRAは女性が多い傾向が見られます。
CRAにも医師に臨床試験への参加を依頼する際には営業力が求められる場面があります。また、施設を単独で訪問してモニタリングを行う機会も多くあります。しかし、これらの要素については、MRの方がさらに必要とされます。
MRからCRAへの転職は時間と労力がかかる
MRからCRA(臨床開発モニター)への転職は、MRへの転職に比べて3~4倍の時間と労力が必要になる。
MRからCRA(臨床開発モニター)への転職は、MRへの転職と比べて、3~4倍の時間と労力が必要になることが多いです。なぜなら、MRへの転職と異なり、CRA(臨床開発モニター)への転職は未経験からの挑戦となるからです。
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MRからCRA(臨床開発モニター)への転職を考えている方は、まず業界や仕事内容について十分に調べましょう。その上で、CRA(臨床開発モニター)になりたい理由を説明できるようにしたり、ご自身の経験がどのようにCRA(臨床開発モニター)として活かせるのかをまとめたりしましょう。
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また、MRへ応募するために作成した応募書類を、そのままCRA(臨床開発モニター)への応募に使用することは避けましょう。なぜなら、採用担当者は応募書類から、応募者が本気でCRA(臨床開発モニター)になりたいと考えているかどうかを見極めようとしているからです。
したがって、MRの方がCRA(臨床開発モニター)へ応募する際は、CRA(臨床開発モニター)になりたい明確な理由や、MRの経験がどのようにCRA(臨床開発モニター)として活かせるかが詳しく書かれた熱意の伝わる応募書類を、十分な時間をかけて作成することが重要です。
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MRとCRAの転職の違い
MRからMR | MRからCRA | |
100% | 合格率 | 20~30%前後(MRからMRを100%とした場合) |
MR(文系大卒が最も多い) | 他の応募者 | 大卒・院卒の薬剤師・看護師・臨床検査技師 |
ほとんど不要 | 業界研究 | 必要 |
合否への影響度は少ない | 英語力 | 合否への影響度は大きい |
容易に作成できる | 応募書類 | 志望動機や自己PRなどの作成に時間がかかる |
経験してきたことを話せば良い | 面接 | CRAとしてMRの経験がどのように生かせるかをを話す必要がある |
- CRAへ応募した場合、他の応募者はMRと異なり薬剤師や看護師、CRCなどの医療系のスペシャリスト達です。
- CRAへ応募した場合、業界研究もほぼゼロからのスタートになり、応募書類や面接の準備にかかる時間も倍以上に増えることになります。
それでも、看護師や臨床検査技師に比べれば、MRが準備に必要な時間は短く、合格率も高いです。油断は禁物ですが、MRは有利な立場にありますので、自信を持ってCRAに挑戦しましょう。
CRA(臨床開発モニター)へ転職しやすい資格ランキング(CRAばんく調べ)
- 1位
- CRC・治験コーディネーター(理系大卒・院卒/新卒入社)
- 2位
- 製薬会社MR(薬剤師)※1 ※2
- 3位
- 製薬会社MR(理系大卒・院卒)※1 ※2
- 4位
- 薬剤師(病院)
- 5位
- 薬剤師(調剤)、がん領域の看護師(大卒・院卒)
- 6位
- CRC・治験コーディネーター(理系大卒・院卒/中途入社)、CSOMR(理系大卒・院卒)※1 ※2
- 7位
- 保健師(病院)、がん領域以外の看護師(大卒・院卒)、臨床検査技師(院卒)、獣医師
- 8位
- 保健師(企業)、製薬会社MR(文系大卒)※1 ※2
- 9位
- 保健師(行政)、臨床検査技師(大卒)、CSOMR(文系大卒)※1 ※2
- 10位
- CRC・治験コーディネーター(専門・短大卒)、臨床工学技士(大卒)、医療機器営業(理系大卒・院卒)
- 11位
- 看護師(短大・専門卒)
- 12位
- 臨床検査技師(短大・専門卒)、臨床工学技士(短大・専門卒)、管理栄養士
※1 MRの施設別の転職のしやすさは有利なほうから 大学病院>その他の基幹病院>>開業医
※2 MRの医薬品の種類別の転職のしやすさは有利なほうから 先発品>>>後発品
CRA(臨床開発モニター)になりたい理由の作成の難易度は、保有資格によって大きく異なる。
最も難易度が低いのはMRです。MRはCRAと同じ製薬会社に所属しており、取り扱う商品もCRAと同じ医薬品です。そのため、既存薬よりも新薬に興味があると伝えるだけで、CRA(臨床開発モニター)になりたい理由を容易に説明できます。また、薬剤師も難易度が低いです。薬剤師は医薬品に詳しく、製薬会社に関する知識もあるからです。
一方で、最も難易度が高いのは臨床検査技師です。臨床検査技師は製薬会社や医薬品について詳しくありません。また、看護師も難易度が高いです。看護師も臨床検査技師と同様に製薬会社について詳しくなく、医薬品についてもあまり詳しくないからです。
よくある質問とみんなの回答
- Q
- CRAとMRはどちらが大変ですか?
- A
-
元MRですが、想像していたよりモニターは内勤業務が多いです。なので、自由に活動していたMR時代が懐かしいです。また、モニターは間違えがあってはならない仕事なので、細かく書類等チェックできる方は向いているかと思います。
MRは数字さえよければ割と自由。
モニターは評価されることはあまりなく、そつなく仕事をこなす仕事という印象です。
向き不向きあると思いますが、精神的にはモニターの方が楽なと思ってます。
- Q
- 30代でもMRからCRAへ転職できますか?
- A
- 私は30代前半でMRからモニターへ転職しました。応募のタイミングや応募先にもよりけりですが、可能性はあると思います。ちなみに、私は書類選考でおとされることも多かったです。
- Q
- 動物病院を担当しているMRでもCRAへ転職できますか。
- A
-
転職できる可能性は十分にあると思います。
ポイントは、転職面接時に現在の一見、マイナスに見える要素をいかに積極的なアピールに展開できるかにかかっています。
マイナス要素 「動物医薬品メーカーのMRとして勤めているが、MR資格はなく、ヒト用の医療用医薬品の知識が少ない」
↓
転職理由「動物医薬品メーカーのMRとしてのキャリアは、ヒト用の医療用医薬品の非臨床試験(動物試験)結果の理解や解釈に役立つ。その強みを医薬品業界の専門職である臨床開発で活かしたい。CROであれば、さまざまな製薬メーカーの仕事に関わることができるので、いろいろな領域の新薬開発にチャレンジしたい」
いかがでしょうか。
少しこじつけ感が強いかもしれませんが、受ける印象は大きく違います。未経験者の採用はあくまでも今後のポテンシャルを見ているわけですから、それを感じさせることができれば大丈夫です。
- Q
- CSOのMRからCRAへ転職できますか?
- A
-
20代後半ということであれば未経験者採用の許容範囲に入りますので、年齢の観点では問題ないと思います。
あとはコントラクトMRのキャリアがどのように影響するのかですが、理系出身であること、MR認定試験に合格していること、中枢神経系や癌など臨床開発のキャリアとして比較的有利に働く領域での経験があること、などの条件がそろえば中堅製薬メーカーのMRからの転職と比較して、それほど違いはないと思います。
逆に言うと、文系出身者であったり、MRとしての経験領域がオーソドックスな生活習慣病領域のみであるような場合は、やはり不利になると思いますので、英語力を磨くなどのプラスαのアピールポイントが必要になってきます。
- Q
- MRからCRAへの転職の際の職務経歴書上での実績の書き方について
- A
-
MRとしての営業実績は採用時の参考材料になると思いますが、あくまでもひとつの目安かと思います。営業実績よりも、担当している領域や施設規模、扱っていた製品の内容、新薬の採用経験、PMS対応の有無などが採用時の大きな要素になります。
特に最近のCRA(臨床開発モニター)では癌、中枢の経験が比較的高く評価されますので、それらがアピールできれば有利です。また、自己啓発で英語学習に積極的に取り組んでいるなども有効でしょう。
- Q
- MRからのCRAへの転職の際に医療系の資格はあったほうが良いですか。
- A
-
MRからCRAに転職する際には、医療系の資格は必ずしも有利になりません。それよりもまずはMRとしての経験を多少おおげさでよいので、しっかりとアピールしましょう。
MR経験があり、認定資格も持っているということは、CRAとして業務のする際の基本的な医学薬学知識、業界の一般常識、コミュニケーション力は既にあるとみなせますから、あとは職務経歴書や面接で、MR経験を軸に、ポテンシャルをアピールすることになります。
職務経歴書にMR時の担当疾患領域、担当エリア、担当施設の規模や数、薬剤数について十分に記載します。
例えば、あなたが頻回訪問や的確な説明会開催などで、担当医療機関の処方実績をアップさせた経験があるとするならば、しっかりと記載しておくべきです。もちろん、処方実績アップは面接でもアピールしてよいでしょう。
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