医療機器の治験をモニタリングする医療機器開発モニター(MD-CRA)とは医薬品ではなく医療機器の開発のモニタリングを行う職種です。MD-CRA(Medical Device-Clinical Research Associate)と呼ばれCRA(Clinical Research Associate/臨床開発モニター)と区別して扱われることが多いです。
こちらでは近年増加している医療機器開発モニター(MD-CRA)の仕事内容や将来性、CRA(臨床開発モニター)との違いについて解説します。
医療機器開発モニター(MD-CRA)が増加する背景
医療機器を販売するためは治験が必要。医療機器の市場規模は拡大している。
医療機器とは、MRI・CT・レントゲン装置・血圧計などの医療機器から、カテーテル・ステントなどの消耗品なども含みますが、人体へのリスクが高いもの(高度管理医療機器など)については、開発過程で医薬品と同じように治験を行う必要があります。
以前は、簡単な試験だけで医療機器を販売することが可能でしたが、薬機法が繰り返し改正された結果、現在は医療機器の臨床性能試験についても、医療機器GCP(ISO14155に準拠)に従って実施されるようになりました。
その結果、市場で販売するために必要な手続きが複雑化したため、医療機器開発の専門家である医療機器開発モニター(MD-CRA)のニーズが増加することになりました。
他にも、近年は次々と最新の医療機器が開発されており、世界の市場規模は右肩上がりで伸びています。そのため、市場規模の拡大に呼応して、医療機器の治験に精通した医療機器開発モニター(MD-CRA)の必要性も拡大しています。
医療機器の市場規模の推移
※薬事工業生産動態統計調査より出典。
※2019年から「薬事工業生産動態統計調査」の調査対象が「製造販売業者」に、報告金額が「出荷価格」に変わり、輸出入の定義も変更されたため、過去データと単純比較できない点にご注意ください。
医療機器開発モニター(MD-CRA)とCRAの違い
医療機器開発モニター(MD-CRA)は「医療機器」、CRA(臨床開発モニター)は「医薬品」のモニタリングを行う。
医療機器開発モニター(MD-CRA)とCRA(臨床開発モニター)は両者とも治験のモニタリングに従事しますが、扱うものがCRA(臨床開発モニター)は「医薬品」、医療機器開発モニター(MD-CRA)は「医療機器」と違います。
そのため、モニターに求められる「仕事の内容」や「能力」が異なります。以下で詳しく解説します。
プロトコル作成やコンサルタント業務が増える
医療機器の開発にあたって治験を行う必要があるものは、ペースメーカーやステントなどの患者様に高いリスクを及ぼすものに限られます。そのため、治験のノウハウが医療機器メーカー・病院のどちらにも蓄積されにくく、手探りの状態で治験をスタートする場面が多くなります。
その結果、医療機器開発モニター(MD-CRA)はCRA(臨床開発モニター)と比較して、医療機器メーカー・病院から、治験についての相談や助言を求められる場面が多くなり、「申請方法の助言」などのコンサルタント業務が増加します。
また、「機器の概要書の作成」「品質管理」「データ管理」「安全情報管理」「申請」などのモニタリング以外の業務を担うことも多くなります。
多くの治験を経験できる
医療機器の開発の期間は医薬品と比べて短いです。医薬品の開発は臨床に入ってから「5~7年前後」の期間がかかることが多いですが、医療機器は臨床開発の工程が短く、頻繁にモデルチェンジがあることも影響して、開発期間は「1~4年ほど」と言われています。
そのため、CRA(臨床開発モニター)よりも医療機器開発モニター(MD-CRA)のほうが、ひとつの治験に携わる期間が短く、同期間で多くの医療機器開発の経験が得られます。
製品化に立ち会える可能性が高い
医薬品の場合、治験の途中に副作用が発生するなどしてプロジェクトが中止になったり、申請が承認されなかったりして上市にたどり着かないことがしばしば発生します。
それに対して、医療機器は副作用が少なく、プロジェクトが中止になる可能性は低いため、承認にたどり着く可能性が高くなります。
その結果、治験に携わった多くの医療機器が製品化されるため、医療機器開発モニター(MD-CRA)が製品化の場面を目にできる機会が増加します。
両者に求められる資質は似ている
CRA(臨床開発モニター)と医療機器開発モニター(MD-CRA)はどちらもGCP(good clinical practice、臨床試験を適正に実施するための基準)を順守して治験を行う点は同じです。
そのため、CRA(臨床開発モニター)の経験があれば医療機器開発モニター(MD-CRA)として業務をできることが多く、その逆も同じであるため、モニターに求められる資質は両者とも似ていると言えます。
医療機器の知識と英語力が必要
ただし、医療機器開発モニター(MD-CRA)は薬剤ではなく医療機器に通じている必要があります。
また、海外の医療機器メーカーの製品を日本へ導入する場面が多いため、英語力を求められる場面もCRA(臨床開発モニター)と同様に多いです。
医療機器開発モニター(MD-CRA)とCRAの比較一覧表
| 医療機器開発モニター(MD-CRA) | CRA(臨床開発モニター) | |
| Medical Device-Clinical Research Associateの略 | 何の略? | Clinical Research Associateの略 |
| 医療機器GCP省令(ISO14155に準拠) | 法規制 | 医薬品GCP省令(ICH-GCPに準拠) |
| 医療機器会社、もしくはCRO | 所属する組織 | 製薬会社、もしくはCRO |
| 医療機器が販売できるように、臨床試験がきちんと行われているかを病院を巡回してチェックする。 | 仕事内容 | 新薬が販売できるように、臨床試験がきちんと行われているかを病院を巡回してチェックする。 |
| 年収は400~1000万円 平均年収はおよそ600万円前後 |
給与 | 年収は400~1200万円 平均年収はおよそ600万円前後 |
| 臨床工学技士、診療放射線技師、医療機器営業の出身者が多い。 | 資格 | 薬剤師が最も多く、次いで看護師、MR、臨床検査技師の順。 |
| 少ない(CRAの10分の1以下) | 人数 | 多い |
| 小さい(医薬品のおよそ4分の1〜3分の1) | 市場規模 | 大きい |
| 低い | 開発コスト | 高い |
| 疾患と医療機器 | 必要な知識 | 疾患と薬剤 |
| 1~4年(非臨床期間を含むと2~7年) | プロジェクトの期間 | 5~7年(非臨床期間を含むと10~15年) |
| 中小企業が多く、資金力がない場合が多い | メーカーの規模 | 大企業が多く、資金力が潤沢な場合が多い |
| 患部のみを物理的に直接治療するため、患部以外で副作用が発生する可能性は低い | 作用機序 | 患部以外での副作用がしばしば発生する |
| 多い | 商品数 | 少ない |
| 少ない | 必要な症例数 | 多い |
|
その他の特徴 |
|
医療機器開発モニター(MD-CRA)を選んだ理由
医療機器開発モニター(MD-CRA)を選んだ理由ベスト2
- 1位
- 配属がCRA(臨床開発モニター)ではなく、医療機器開発モニター(MD-CRA)だった。
- 2位
- 医療機器開発モニター(MD-CRA)の応募条件を満たしていた。
医療機器開発モニター(MD-CRA)を選んだ理由の1位は「配属がCRA(臨床開発モニター)ではなく、医療機器開発モニター(MD-CRA)だった。」です。
「CRA(臨床開発モニター)になるつもりだったが、配属された部署が医療機器だった」「気がついたら、医療機器開発モニター(MD-CRA)になっていた」など、「故意」ではなく「偶然」によって、医療機器開発モニター(MD-CRA)になった方が多いようです。
2位は「CRA(臨床開発モニター)へは応募できないが、医療機器開発モニター(MD-CRA)なら応募ができた。」です。医療機器開発モニター(MD-CRA)が扱うのは医薬品ではなく医療機器であるため、「臨床工学技士」「診療放射線技師」「医療機器営業」「手術室で働いていた看護師」「検査会社で働いていた臨床検査技師」など、医療機器に触れる機会が多い方の転職先になっているようです
医療機器開発モニター(MD-CRA)を選んだ人の声
- 医療機器開発モニター(MD-CRA)は発展の途上にある仕事です。
- 医療機器開発モニター(MD-CRA)は法律の整備が遅れていたり、医療機器メーカーの規模が小さかったりするため、治験の進め方が分からない医療機器メーカーさんがいらっしゃいます。
また、CRA(臨床開発モニター)よりも人数が少ないため、効率的な業務運営ができなかったり、治験の実施体制が整っていなかったりします。
このように、医療機器開発モニター(MD-CRA)の仕事は発展の途上にあると言えるため、ビジネスそのものをこれから作り上げていく楽しさがある点が魅力です。
- モニタリング以外の業務をお願いされることも多いです。
- 医療機器のメーカーは製薬会社と異なり、規模が中小のところが多く、治験についてのノウハウを持っていない場合があります。
そのため、医療機器開発モニター(MD-CRA)はモニタリングを行うだけでなく、治験の進め方の説明や、厚生労働省から承認を得るための薬事申請の支援まで、コンサルタントとしての役割を求められることが多いです。
他にも、「プロトコール作成」「機器概要作成」「総括報告書のまとめ」なども医療機器メーカーから依頼をされることも多いため、医療機器開発の全体を経験できます。
- 様々な種類の治験を経験できるうえ、英語力の向上が期待できます。
- 医療機器は医薬品と異なり短期間で開発できるため、医療機器開発モニター(MD-CRA)は短い期間に様々な領域の開発を経験できます。
また、海外の医療機器を日本で導入する場面が多くあるため、英語力を身に付けるチャンスが豊富にあります。将来的にはグローバル対応可能なモニターとして活躍することが可能です。
よくある質問とみんなの回答
- Q
- 医療機器営業からCRA(臨床開発モニター)へ転職できますか。
- A
-
CRA(臨床開発モニター)は一般的に医療用医薬品の開発を担当することが多いですが、医療機器の開発を担当する場合もあります。
医療機器開発のモニターに応募する場合は医療機器営業の経験が直接役に立ちますから、逆に通常のMRよりも有利です。ネックなのは求人数が少ないことでしょう。そのため求人数が多い医薬品開発モニターを志望することも想定されていると思いますが、その場合、転職活動にひと工夫必要でしょう。
例えば抗体医薬などPFS(pre filled syringe)の医薬品開発の枠組みの中で新たなデバイス開発を行ったりすることがありますので、医療機器営業の経験を活かせるとアピールすると説得力があります。
- Q
- 医療機器の技術営業からCRAへの転職は可能でしょうか。
- A
-
CRAは大きくは2つに分けられます。一つは新薬の開発に携わる臨床開発モニター(CRA)、もう一つは医療機器の開発に携わる医療機器開発モニター(MD-CRA)です。
MRは医薬品に詳しいですから、臨床開発モニターへ転職しやすいです。一方で医療機器の技術営業職は医療機器に詳しいですから、医療機器開発モニターへ転職しやすくなります。
医療機器開発モニターの求人数は臨床開発モニターより少ないため、求人を見つけるのに苦労されるかもしれませんが、常に一定のニーズがあるため粘り強く探されると良いと思います。
以下のURLもご参考にしてください。
https://cra-bank.com/mdcranoshigotonaiyou
医療機器開発モニター(MD-CRA)とCRA(臨床開発モニター)の違い
どうしても医療機器開発モニターではなく、臨床開発モニターになりたい場合は、質問者様がおっしゃるように就職浪人することも検討されて良いと思いますが、就職の難易度が高くなるうえに1年を棒に振ることになるため、とてもお勧めできません。
ちなみに、医療機器開発モニター(MD-CRA)になられた後にCRA(臨床開発モニター)へ転職することも可能です。
<似ている質問>
https://cra-bank.com/keijiban?gu=57
医療機器営業からCRA(臨床開発モニター)へ転職できますか。
<転職成功事例>
https://cra-bank.com/seikoujireinum?num=40
医療機器営業から未経験でCRAへ転職成功
https://cra-bank.com/seikoujireinum?num=46
臨床工学技士から医療機器モニター(MDーCRA)へ転職できました。












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