
臨床開発モニターとは(CRAとは)

臨床開発モニターとは、臨床(人を対象とした病院のこと)で行われる薬の開発(ある物質を医薬品にするために、どのような疾患を対象として、どのような病院で臨床試験を行うかを計画して実行すること)を治験依頼者(製薬会社等)から任命されてモニター(治験がGCPを守って適切に行われているかを確認すること)する職種です。CRA(Clinical Research Associate)とも呼ばれます。
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製薬会社とは

製薬会社とは薬を作り売る会社のことを言います。製薬会社は医薬品の研究開発だけでなく、製造から販売までを行っています。
CROは製薬会社が行う臨床開発を専門に支援する会社です。CRA(臨床開発モニター)は製薬会社やCROに所属して働きます。
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治験とは

治験とは薬の候補物質を人に投与して、安全性や効果を確認する試験のことです。
詳しくはこちら治験とは?
CRA(臨床開発モニター)の仕事内容

- 1.
- 治験の内容を説明する。
- 2.
- 違反がないかを確認する。
- 3.
- 報告書を作成する。
詳しくはこちらCRA(臨床開発モニター)の仕事の詳細
CRA(臨床開発モニター)が関わる人たち

CRA(臨床開発モニター)が最も関わる人たちは治験責任医師とCRC(治験コーディネーター)です。製薬会社/CROのリーダーやマネージャー、治験分担医師、病院/SMOのSMA(治験事務局担当者)とも多く関わります。
詳しくはこちらCRA(臨床開発モニター)の各関係者との調整
CRA(臨床開発モニター)の一日と一週間

CRA(臨床開発モニター)の一日
- 9:00
~
12:00 - 治験の説明
- 医師・治験コーディネーター(CRC)に治験の説明を行う。
- 13:00
~
17:00 - モニタリング
- 治験が計画通りに行われているかを確認する。
- 17:30
~
18:00 - 書類の作成
- モニタリング報告書を作成する。
CRA(臨床開発モニター)の一週間
曜日 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 午前 | 会社で会議 | 会社 | 会社 | 病院B(モニタリング) | 会社 |
午後 | クリニックA | 移動(飛行機) | 移動(飛行機) |
詳しくはこちらCRA(臨床開発モニター)の一日と一週間
CRA(臨床開発モニター)になるには

薬剤師やMRになった後、28歳ぐらいまでにCROへ転職することが中途採用では一般的です。
CROとは?
CRA(臨床開発モニター)の業務を専門に行っている会社です。代表的な会社としてシミックやIQVIAサービシーズジャパンなどがあります。
CRAの資格の種類
※200名のCRAばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2023年2月、有効回答数:N=200)。(新卒入社を含む)
CRAになった年齢
※120名のCRAばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2023年2月、有効回答数:N=120)。(ただし、新卒は除く)
CRAの学歴
※180名のクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2023年2月、有効回答数:N=300)。
詳しくはこちらCRA(臨床開発モニター)になるには
CRA(臨床開発モニター)の年収

CRA(臨床開発モニター)の平均年収は約610.6万円となっています。
CRAの年収
※CRAは365名、CRCは262名のCRAばんく・CRCばんくのクチコミ・アンケート調査データをもとに作成(調査期間:2015年4月~2023年2月、有効回答数:N=627)。
※薬剤師・MR・看護師・臨床検査技師は2018年の賃金構造基本統計調査のデータを独自に加工して作成。
詳しくはこちらCRA(臨床開発モニター)の給料と年収
CRA(臨床開発モニター)の良い点・悪い点

CRAの良い点
- 薬剤師
-
- 新薬を開発できる
- 将来の給料があがる
- MR
-
- 結婚後も続けられる
- 転勤がない
- 看護師
-
- 夜勤がない
- スーツを着て働ける
- 臨床検査技師
-
- 給料が大きくあがる
- スーツを着て働ける
CRAの悪い点
- 薬剤師
-
- 調剤スキルが衰える
- 地方で働けない
- MR
-
- 一時的に年収が下がる
- 看護師
-
- 看護スキルが衰える
- 地方で働けない
- 臨床検査技師
-
- 検査スキルが衰える
- 高いコミュニケーション力を求められる
詳しくはこちらCRA(臨床開発モニター)の評判・口コミ
CRA(臨床開発モニター)のキャリア

7~10年後にはチームをまとめるリーダーになることが一般的です。その他に、プロトコールの作成に携われる開発企画や、品質を管理するQC(Quality Control)へ異動したり、病院・SMOへ転職して、治験コーディネーター(CRC)になる方もいらっしゃいます。
CRAのキャリアマトリックス
※円の大きさは人数の多さを表す
- CRAのキャリアパスについて知りたい方はこちら
- CRCのキャリアについて知りたい方はこちら
CRA(臨床開発モニター)の将来性
2018年に売上高が初めて前年を下回ったことから、CRO業界は急成長から安定成長へと変わったと言えます。今後のCRA(臨床開発モニター)の数はIT化の進展により効率化が進むことから、現状維持、もしくは、微減すると予想されています。
CROの売上高と従業員数
※CROは日本CRO協会の会員のみ。
※日本CRO協会年次業績報告書2021年をもとに作成。
薬物の治験計画届出件数の推移
※PMDAより出典
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CRA(臨床開発モニター)のよくある質問

- Q1
- 残業はどれぐらいありますか?
- A1
- 月に10~30時間です。出張の移動時間を加えると20~50時間ほどになります。
- Q2
- 英語が苦手です。大丈夫ですか?
- A2
- 大丈夫な場合が多いですが、応募先によってはTOEIC700~800前後の英語力を求められることもあります。
- Q3
- 仕事と家庭は両立できますか?
- A3
- できます。育休後の復職率は90%前後の会社が多いです。
- Q4
- 転職する時に年齢制限はありますか?
- A4
- CRA未経験者は28歳前後、CRA経験者は50歳前後までが、選考に通過しやすいです。
- Q5
- CRA未経験者の合格率はどれぐらいですか?
- A5
- 3~5%前後です。
詳しくはこちらCRA(臨床開発モニター)のよくある質問
CRA(臨床開発モニター)のよくある質問とみんなの回答
- Q
- CRAとMRはどちらが大変ですか?
- A
-
元MRですが、想像していたよりモニターは内勤業務が多いです。なので、自由に活動していたMR時代が懐かしいです。また、モニターは間違えがあってはならない仕事なので、細かく書類等チェックできる方は向いているかと思います。
MRは数字さえよければ割と自由。
モニターは評価されることはあまりなく、そつなく仕事をこなす仕事という印象です。
向き不向きあると思いますが、精神的にはモニターの方が楽なと思ってます。
- Q
- 外資系CROと内資系(日系)CROの違いを教えて下さい。
- A
-
未経験からCRA(臨床開発モニター)へ転職する場合、外資系か内資系(日系)CROのどちらが良いかを悩まれる応募者が多いようです。私は外資系CRO、内資系(日系)CROのどちらも経験しておりますので、僭越ながら私なりに感じた違いやメリット・デメリットについて説明します。
年収や給与水準は外資系CROのほうが高い傾向があります。内資系(日系)CROにも年収や給与水準が高いCROは存在しますが、少ないと思います。理由はいくつかありますが、やはりグローバルに展開しているクインタイルズなどのCROは競争力が高いため製薬会社に対して強い価格交渉力を持っている点が最も大きいと思います。プリファード契約などの優先契約を交わしていることも多く、高い単価での受注が可能です。他にも外資系は業務の効率化が進んでいるため、CRA(臨床開発モニター)一人あたりの業務効率が高いことも影響していると思います。
それに対して内資系(日系)CROはグローバルにおける価格競争力が弱く、業務の効率化も進んでいません。また、臨床開発以外の業務も幅広く手がけているCROも多いため、どうしても給与水準が低くなりがちです。その証拠に内資系(日系)CROでもリニカルなどの領域集中型のCROは他の内資系(日系)CROよりも高い給与水準を維持しています。
ただし、業務の効率化が進んでいるということは、無駄な作業が少ないことを意味します。事実、外資系CROは業務の効率化を進めるあまり、横の人間関係が希薄になっている部分があります。ラインマネージャーなどの横野つながりをフォローするための担当者も設けたりしていますが、人数不足は否めず細かい点までフォローできていないのが実情です。
- Q
- CRO業界は今後も成長すると思いますか?
- A
-
IT化の流れもあり、モニターが施設に訪問する必要性が今後なくなっていくことでしょう。例を挙げますと、リモートSDVがあたります。
そうなれば、モニターを多く在籍させるCROは減り、業界自体は少数精鋭で運用していく流れになっていくことでしょう。
現在、業界自体は成長の流れを強くアピールしていますが、10年後は厳しいかと思います。
- Q
- 国際共同治験(グローバル試験)は普通の治験と何が違うのでしょうか?
- A
-
国際共同治験とは、簡単に言うと「複数の国で統一したプロトコル(治験実施計画書)に基づいて実施する試験」と言えます。
昨今、国際共同治験が盛んである背景としては、ドラッグラグ(いわゆる承認済医薬品の地域間格差)の解消や、1カ国では症例集積が難しい疾患での医薬品開発が多くなってきていることが挙げられます。
統一したプロトコルですから、基本言語は英語で、各種資料や会議を含めて圧倒的に英語を使用する機会が多いでしょう。
FDA(アメリカ), EMA(ヨーロッパ), PMDA(日本)と各国の規制当局間では、データの解釈や申請要件に若干の違いがあり、その点の調整が必要だったりします。
通常の治験は、日本での承認を取得するために計画されていますので、日本の実情にあった運用になっていますが、国際共同治験の場合はそう簡単ではありません。
また臨床現場では、併用禁止薬に違いがあったり、臨床検査の検体を海外ラボに送る必要があったりと、様々な細かな対応事項があります。
大変ですが、今後、増え続けるであろう国際共同治験のニーズを考えると、国際共同治験の経験は有用だと思います。
- Q
- CRAには英語力がどれぐらい必要なのでしょうか?
- A
-
CRA(臨床開発モニター)への転職の際には英語力がアピールできれば非常に有利になるのは間違いありません。
具体的に有利になるのは、どのくらいの英語力かというと、スバリTOEICの点数では、750点以上あれば、業務で英語が使えるポテンシャルの高い人材として認識してくれるでしょう。
ただし実際は、TOEIC高得点者でも、簡単な英文E-mailの作成に何十分も費やしたり、電話会議で自分の意見がなかなか言えなかったりするものです。
そのあたりは採用側も十分承知をしているので、TOEICの点数はあくまでも英語力のポテンシャルを見るためのひとつの指標です。
E-mailの作成や電話会議でのやりとりは実際にやってみないとなかなか上達しません。
つまり、CRA(臨床開発モニター)への転職時点で必ずしもE-mailのライティングや、電話会議でのスピーキングが堪能であることは求められません。仮に現在のTOEICの点数が600点に満たないような状況でも、英語に対する関心度、勉強する姿勢などをアピールすればよいでしょう。
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