ドラッグラグとドラッグロスの違いは？

ドラッグ・ラグとドラッグ・ロスはしばしば同じ意味で使われますが、厳密には違います。ドラッグ・ラグとは、薬が日本で開発されるものの、時間差があることを言います。ドラッグ・ロスとは、そもそも薬が日本で開発されないことを言います。

近年は日本の薬価制度や市場規模、日本の薬事制度の複雑さなどが原因で、薬が日本で開発されないドラッグ・ロスが増えてきたため、日本における新薬開発の問題点として注目されています。

ドラッグ・ロスを解消するためには、海外のバイオベンチャーが日本で新薬を開発しやすい環境を整えることが必要です。薬価制度の改革については政治的な解決が必要ですが、CRAとしては、治験の費用の削減や薬事制度のコンサルティングを通じて貢献できると思われます。

面接では、「将来は創薬支援に携わり、バイオベンチャーが日本で薬を開発する手助けをし、ドラッグ・ロスを減少させたいと考えています」などと述べると良いでしょう。

また、審査ラグはすでにほとんど解消されており、開発ラグも国際共同治験の増加により、希少疾患を除けば以前より改善されていることを知っておくと良いでしょう。

以下の記事も参考にしてください。
https://cra-bank.com/chikentoha#a9
（験が抱える問題点）

ドラッグラグとドラッグロスは、どちらも海外で承認されている医薬品が日本で使えるようになるまでのタイムラグや、そもそも日本で開発・承認されない状況を指す言葉ですが、その原因と状況に明確な違いがあります。

◆ ドラッグラグ: 海外で承認されている医薬品が、日本で承認されるまでに時間差が生じる現象。
◆ ドラッグロス: 海外で承認されている医薬品が、日本で開発・承認されないため、そもそも使用できない状況。

以下に、それぞれの違いをより詳しく説明し、面接でどのように答えるべきかについてもアドバイスさせていただきます。

ドラッグラグ（Drug Lag）

ドラッグラグは、海外（特に欧米）で承認されている医薬品が、日本で承認されるまでに時間差が生じる現象を指します。つまり、海外では既に患者さんが使用できている薬が、日本では承認審査のために使用できない期間があるということです。

ドラッグラグの原因:

◆ 承認審査の遅延: 日本の規制当局（厚生労働省）による審査に時間がかかる。
◆ 治験の遅延: 日本で治験を行うまでに時間がかかる、または海外のデータだけでは承認されないため、日本で追加の治験が必要となる。
◆ 薬価制度: 日本の薬価制度が海外と異なるため、製薬会社が日本での承認申請を後回しにする。

ドラッグラグの影響:

◆ 日本の患者さんが最新の治療を受けられない期間が生じる。
◆ 海外で有効性が確認されている薬を、日本の患者さんが使用できないため、治療の選択肢が限られる。

ドラッグロス（Drug Loss）

ドラッグロスは、海外で承認されている医薬品が、日本で開発・承認されないため、そもそも使用できない状況を指します。つまり、海外では使用できる薬が、日本では存在しないということです。

ドラッグロスの原因:

◆ 日本の市場規模: 日本の市場規模が海外に比べて小さい、または成長が見込めないと判断され、製薬会社が日本での開発を断念する。
◆ 日本の薬価制度: 日本の薬価制度が厳しく、十分な利益が見込めないと判断され、製薬会社が日本での開発を躊躇する。
◆ 日本の薬事規制の複雑さ: 日本の薬事規制が複雑で、開発コストや時間がかかると判断され、製薬会社が日本での開発を避ける。

ドラッグロスの影響:

◆ 日本の患者さんが海外で使用できる最新の治療を受けられない。
◆ 日本の医療水準が海外に比べて遅れる可能性がある。
◆ 日本の製薬業界の国際競争力が低下する可能性がある。

面接での回答例

面接でドラッグラグとドラッグロスの違いを聞かれた場合は、以下のように答えるのが良いでしょう。

「ドラッグラグは、海外で承認されている医薬品が日本で承認されるまでに時間差が生じる現象を指します。一方、ドラッグロスは、海外で承認されている医薬品が、日本で開発・承認されないため、そもそも使用できない状況を指します。

ドラッグラグは、承認審査の遅延や治験の遅延、薬価制度などが原因で発生します。ドラッグロスは、日本の市場規模や薬価制度、薬事規制の複雑さなどが原因で発生します。

どちらも、日本の患者さんが最新の治療を受けられないという点で問題であり、医療の進歩を阻害する要因となっています。私は、CRAとして、治験の迅速な実施や効率的なモニタリングを通して、ドラッグラグの解消に貢献したいと考えております。」

このように、それぞれの定義、原因、影響を簡潔に説明し、最後にCRAとしてどのように貢献したいかを述べることで、面接官に好印象を与えることができるでしょう。

補足情報

◆ 近年は、ドラッグラグは改善傾向にありますが、ドラッグロスは深刻な問題となっています。
◆ 国際共同治験の推進や、薬事規制の見直しなど、ドラッグラグ・ロスを解消するための取り組みが行われています。